テタレ探訪

マレーシアでの生活の記録をぽつぽつと投稿します。迷走してます

4択の迷路

気候が温暖で食べ物も美味しく現状マレーシアでの生活はかなり気に入っているのだが、それでもどうしても好きになれないところはある。

車道。

車とバイクの運転マナー、歩行者の人権の無さ、ていうかそもそも道路の敷き方がおかしい、とかとにかくその全てが。

 

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2023年の交通事故死者数は日本の2,678人に対してマレーシアが12,417人。約4.6倍。人口が日本の3〜4分の1なのにだ。車両の損傷など軽微なものも含めた交通事故件数全体としては約60万件に上るとのこと。1日あたり1,600件以上起きているということになる・・・想像を絶する数字だ。これはあくまで報告されている件数でしかないため、当て逃げや何らかの理由で示談になったケースも含めると果てしない数になるだろう。

 

マレーシアに来た初日、空港からホテルへタクシーで向かったときも終始車内でビクビクしていたことを覚えている。100km/h前後で走っている横をビュンビュン通り過ぎていく車や、車と車の間をすり抜けていく2人乗りのバイク(しかもめちゃくちゃ軽装)、ウィンカーを付けずに車線変更を繰り返す前方車、異常に狭い車間距離、無茶な割り込み。幸いこの日のドライバーはちゃんと方向指示を出すし変な運転はしないタイプの人だったけれど、周りの道路状況にビビりすぎてウワッとかエー!?とか変な声をずっと垂れ流していた。この辺でマレーシアでは絶対運転しないと早くも決めた。国際免許取得にかかった安くない手数料返してくれ、とすら思った。

 

というわけで運転は夫に全任せなのだが、KL市内を自分たちで運転するようになってから交通事情の酷さを更に思い知ることとなる。

まずとにかく道路がメチャクチャなのだ。4車線の分岐の仕方も実にバラエティに富んでいる。しかも左右に分かれた道がどちらも右方向にカーブしているとか、狭い間隔でいくつも分岐があるとかでナビを使っていても頻繁に道を間違う。こことここ繋いじゃえ!どうしようもないなら新しく高架作っちゃえ!みたいな感じで思いついた順に無計画に道を作っていったらこんなことになっちゃいました〜ちゃんちゃん、みたいな感じなのでしょう。私がもしその会議に出席していたら全力で反対していたのに。

 

道を間違ったとき、路肩に停めてルートを調べ直そう、空き駐車場に入ってきた道を戻ろう、コンビニでちょっと一息吐こう、と思うでしょう。

ここには無いのです、そんな場所は。全く無いわけじゃないけどね。でも極端に少ないよ。なんてったって道のために作られた道なんだから。間違ったら最後、走り出したら止まれない。Google Mapが示す、ポケットに入れっぱなしにしてたグチャグチャのイヤホンコードみたいな道を、回遊魚のようにただひたすら走り続ける。到着時間は一向に短くならない。穏便な夫が運転中「アアアア!!!!!」と言って帽子を足元に叩きつけるくらい、KLでの運転はストレスが溜まる。

家まで20分で着くはずだったんだけど・・・てかこの曲3周目じゃない?(30分のプレイリスト)

 

じゃあ車なんて使わなきゃいいじゃん、と思うが超車社会のこの地ではそうもいかない。スムーズに行けば車で15分で行ける距離が公共交通機関の乗り継ぎと徒歩で1時間半以上とかかかるのが当たり前。しかも徒歩ルートはちゃんと整備された歩道がなく歩行者用信号はおろか、横断歩道すらも無い道だったりする。夫の会社も車以外の交通手段では通勤が難しい。日本より格段に安いとはいえ、毎回タクシーを使うというわけにもいかないのです。

 

 

バイクに乗ることが趣味の私の父は、休日になるとよく県外まで遠出していた。そんな父について、ずっと前に母がこう言っていた。朝出かけていく父の後ろ姿を見ながら、毎回「もうお父さんに会えるのはこれで最後かもしれない」という気持ちで送り出していると。

私は今まさに夫に対してその気持ちになっている。週5で。