テタレ探訪

マレーシアでの生活の記録をぽつぽつと投稿します。迷走してます

【リペ島】タイ最後の楽園での3日間を通して感じたこと

4/8〜10

充実していたマレーシア・ランカウイ島での2泊を終え、ついにリペ島に上陸する日がやってきた。「タイ最後の楽園」とも呼ばれ、空港も旅客船用の大きな港もない秘境リゾート。

フェリーでマレーシアの離島からタイの離島へ。飛行機以外の乗り物で国境を越えるのは初めての経験である。

 


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港にて出発時間の2時間前からチェックイン。このこぢんまりとした建物に100人以上の旅行者が集まり、イミグレーションカードの記入やらIDチェックなど全ての出国手続きを済ませられるのだからすごい。赤ちゃんを連れた家族やカップル、友達グループなど様々な観光客のあらゆる言語が飛び交っている。

 

出国手続きをしつつ飛び回る蚊たちと格闘しながら野晒しのロビーで1時間程待機した末、フェリーへと乗り込みついに出発。

 

リペ島までの航海は2時間足らずだが、タイはマレーシアよりも標準時刻が1時間遅れているため船の中で時間が巻き戻る。まるでワープしたような気分になる。


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ビーチが見えるところまで近づくと、小型のボートに乗り移って陸へと移動。ロープなどでフェリーと簡易的に繋がれたボートに、乗務員さんたちに助けられながら乗り移る。事故とかでない限りこういうシチュエーションはないと思っていた私にとっては、なかなか衝撃的な体験であった。陸からかなり離れたところでも珊瑚礁や魚の様子が鮮明に見えるくらい透き通った海。

 

まさかのビーチにある入国審査会場

大変だったのはここから・・・。職員が入国者一人一人の氏名を読み上げてパスポートを手渡していくのだが、これが長い長い。しかも同行者はまとめて呼ばれるという以外に何1つ規則性がない。アルファベット順というわけでもなく、国籍もぐちゃぐちゃである。暑い。1時間ほど待ち続けてそろそろ終盤だろうと思った頃、ようやく私たちの名前は呼ばれた。

途中で、出国手続きを済ませた順ではないということも確実にわかった。なぜならランカウイで集合時刻を大幅に遅れてやってきた人がかなり序盤でパスポートを受け取って出発していったからだ。こんなことなら、ランカウイのホテルでの朝食バイキングをもう一周してゆっくりお腹いっぱい食べたかった。律儀に2時間前厳守で港に着いたというのに・・・

 

なんだか損したような気分になっていたが、きっとここには私のようにこんな些細なことを気にしたり、イライラしたり、急いでいる人は誰もいない。

と、この島についてからすぐにわかった。そんな雰囲気だった。

どこまでもスローでアナログで、自由な場所だと思った。

 

 

ビーチすぐの商店街を歩く夫、その後ろから私

長閑な商店街のおしゃれカフェで昼食をとり、そのまま歩いて宿へと向かう。道中で僧侶や寺院を見かけ、仏教国に来たことを改めて実感した。

先ほど入国手続きをした場所は島の南側、私たちの宿は北西側のサンセットビーチにある。リペ島のほぼど真ん中を端から端まで横断するような形になるのだが、徒歩距離にして僅か20分程。それぐらい小さな島だ。

 

フロントでの手続きを終え、スタッフさんに案内してもらったコテージ

 

チェックインしてからは特に予定もなかったので、とりあえずサンセットビーチに出てそのままただボ〜っとしてみた。ちょっと海に入ってみたり、読書をしたり、綺麗な貝殻や角の取れたガラスを集めてみたりする。思いついたことを一通りやり終えたあとは、夕日が沈む19時過ぎまでイスに座って海を眺めた。

先ほど一緒にフェリーに乗ってきた大勢の人々はみんなどこに行ってしまったのだろう・・・というくらいビーチに人は少ない。派手な音楽もなく、周りから聴こえるのは知らない言語と波の音だけ。ゆっくりと時間が過ぎていく。

 

コテージの窓から海を見てゴロゴロしたり、カウンター席で朝食を食べながら潮の満ち引きや魚の群れをただ眺めたり。美味しいタイ料理屋を求めて街を歩き回り、大好きなシンハービールをたらふく飲んだ。ただ3日間そこに居て、帰った。

 

 

 

移動のなかった2日目は海岸沿いを反時計回りに、ただあてもなく突き進んだ。探検だった。

ビーチの先の岩場を越えると新たなビーチが見えてきて、幾つものコテージの群れがある。白浜で肌を焼くセレブたちを横目にさらに歩くと果てにはまた岩場があって、泳いで進むとまた違うビーチが出現する。海を覗くと水族館でしかみたことのない鮮やかな熱帯魚や毒々しい色のイソギンチャクが優雅に暮らしている。

RPGで新たな街を開拓していくような気分だった。歩いてまわれる島とはいえ、いざ一周しようとすると意外とでかい(3分の2くらいで諦めた)。

かなりの数の宿泊施設や飲食店があるような気がしたが、ネット調べだとリペ島の定住人口は約800人とされている。まじ?と思う。

 

 

海岸沿いに連なるリゾート村を横切り、少し内陸に入るとそこには島民の暮らしがある。

トタン屋根で高床、平屋で玄関に扉のないザ・東南アジアの家々。家事に勤しむ女性や、手伝いをしたりその周りで遊んでいる子供たち。ここから目と鼻の先にあるセックスアンドザシティとかバチェラーのようなラグジュアリーな空間とはあまりにも対照的で、強烈なインパクトとして残っている。

私生活だけではなく、繁華街で働いている島民の様子からも前近代的な印象を受けた。この日の夜行ったタイ料理レストランで配膳を手伝っていた小学生くらいの男の子、ゆりかごに入った赤ちゃんをあやしながらレジ打ちをする女性・・・私が生まれる何年か前の日本社会ってこんな感じだったんだろうな、がそこにはあった。「子供が多い」という印象もその1つと言えるかもしれない。この島の子どもたちは学校でどんなことを学んで何を考えていて、どんなふうに世界を見ているんだろう。YouTubeとかみるのかな。将来の夢ってなんなんだろう、とか。考える。

マレーシアでも度々感じることだが、みんな(ストレスがなさそうと言ったら語弊があるので)楽しそうに働いているところが好き。ホールスタッフ同士で談笑したりお客さんからタバコもらって普通に勤務中に吸ったり、タクシーのドライバー同士がすれ違いざまに会話したり。日本だったら確実に苦情で一発アウトだろみたいなのもあるけれど、気を遣われすぎるよりはリラックスできることもある。あと自分もこういうマインドで働けたらな、とちょっと羨ましい(今ニートだけど)。

 

 

前述したようにリペ島は決して便の良い場所ではなく、なんでこんな辺鄙なところにこぞって旅行者が通うのだろう? と思っていたが、実際に過ごしてみるとわかる。

私は旅行に行くと折角来たからにはあれしなきゃ、ここに行かなきゃ、できるだけ多くのものを見て多くのものを吸収しなきゃ。制限時間内にできるだけ多くのスタンプを集めねば、となってしまう性分である。

リペ島はビーチとリゾート以外にこれといった観光地があるかと言えば無いが、別にスタンプラリーをしなくても、ただここに滞在しただけで価値のある時間を過ごしたと思わせる魅力があった。いろんな人が思い思いに過ごしていて、調べてないけど別にモデルコースもないのだろう。最終的には自分の境遇とか国籍とか体型とかどうでもいいやという、なんかそんな気持ちになっていた。近いうちにまた訪れたい場所。